広尾晃 「プロ野球解説者を解説する」は野球観戦の面白さが深まる良書

プレミア12が終了し、野球にとってはオフシーズンとなりますが、「プロ野球解説者を解説する」と言うタイトルだけですぐ購入してしまい、一気に読んでしまった本のご紹介です。

日本人が野球を好きな理由

冒頭の文章から引き込まれました。

日本人が野球を好きな理由として4つを挙げている。

1)野球が「集団」で行動することを好む日本人の特性に合っていると言うこと

2)大相撲の「仕切り」のように投手と打者が間合いを取って対戦するスタイルに馴染みが深いこと

3)監督とコーチが相談する「会議」のようなスタイルが日本人に合っているということ

4)野球独特の細かな記録が「統計」好きな日本人の性分に合っていること

この、「集団」「仕切り」「会議」「統計」のうち、「仕切り」が興味深い。投手とバッターとの駆け引きの時間はMLBを見慣れていると間延びしているように感じるが、少々長い方がお互いの腹の内の読み合いや駆け引きが垣間見えて面白い。このああいに介在するのが「解説者」であり、そこに注目することはプロ野球ファンであればとても自然なことなのだ。

一般のプロ野球ファンであればテレビやラジオを通じて親しみのある解説者という存在。そこに切り込む目線に共感することは、野球ファンなら至極当然なのかも知れません。

日頃触れている解説者(場合によっては実況)に多少なりとも納得感や不満感を覚えている方も多くいるでしょうし、野球に精通している関係者であればその評価を確認したくなるのも野球ファンの性というものです。

 

著者の広尾晃氏は、日米の野球記録を専門に取り上げるブログサイト「野球の記録で話したい」を運営するスポーツライターさんですが、本職は別にあるようですね。

この本を読んで日本のプロ野球が発展することになった大きな要因がテレビやラジオの放送であって、様々の解説者がその文化を支えたことが分かります。様々な解説者のエピソードが紹介され、時にそのエピソードから野球観戦の面白さが紐解かれます。それぞれの方々の横顔や歴史の記述が著者の深い野球愛から発せられ、とても面白く一気に読めました。

 

 

目次

目次を載せておきますね。
●第1章 草創期のプロ野球解説者たち
「なんと申しましょうか、ご婦人にはこの痛みはわからないでしょうね」小西得郎
「明海さん、今のプレー、どう思います?」佐々木信也
「広瀬は何をしとるんでしょうね、あんなところを守って」鶴岡一人
「淡口は親孝行だからヒットが打てるんです」川上哲治
忘れ得ぬ「昔の解説者」たち
プロ野球解説者の歩み1 野球実況中継の始まり

●第2章「プロ野球ニュース」が変えた野球解説者
「ここでエンドランをやるバカはいないでしょう」関根潤三
「俺だって、一千三振してるんだけどね」豊田泰光
「『来た球を打った』という原の言葉を聞いて、まだまだだなと思いましたね」野村克也
「(9回裏)この回で逆転しないともう後がないんじゃないですか」長嶋茂雄
「(0行進が続く試合に)タコ焼きみたいやな」福本豊
「今のメジャーはレベルが低い。日本人選手が活躍するのは不思議でもなんでもない」江本孟紀
「この配球から見ると、この投手の決め球はスライダーですね」江川卓
「バッティングというのは、壁をいかにつくるかなんです」掛布雅之
昭和から平成にかけての解説者たち
プロ野球解説者の歩み2 テレビの登場から「プロ野球ニュース」まで、エンタテインメントとしての広がり
[インタビュー]「今の解説者は甘い! 」佐々木信也

●第3章 大リーグ放送が始まり、野球解説の視野が広がり、深まった
「ロン・ギドリーは、『かわいい女の子を紹介してくれ』って言ってましたね」ジャーナリスト出身の解説者たち
「野茂のノーヒットノーランのときは寒くてNG出しちゃいましたよ」選手出身の解説者たち
プロ野球解説者の歩み3 アメリカの背中を追いかけて

●第4章 新時代のプロ野球解説者たち
「僕はワンバウンドを捕りに行きますよ」古田敦也
「体罰なんてしても選手は強くなりませんよ」桑田真澄
「ゴールドグラブって、自分のグラブの型で作ってくれるんです」矢野燿大
「(イチローは)使い続ければこういうことをする男」小宮山悟
個性横溢! 「今」を語る解説者たち
プロ野球解説者の歩み4 新しい時代を迎えつつあるプロ野球解説者

第5章 プロ野球解説者の「現場」
プロ野球解説者の「現場」
[インタビュー]「解説者になって、視界が開けました」野村弘樹
大リーグ中継の現場
名コーチは名解説者

●第6章 「私は解説者に育てていただきました」
[インタビュー]島村俊治アナウンサーが考える「理想の解説者」とは?